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量子化テーブルのカスタマイズ

  1. 量子化テーブルのカスタマイズが必要なとき

    量子化のテーブルのカスタマイズは通常は必要ありません。次の項目を調整したいときにカスタマイズをします。

    • 録画時の映像品位
    • 録画データのビットレート
    • 録画時の CPU 負荷
  2. 量子化テーブルの構造

    量子化テーブルは、8行8列の量子化係数により構成されます。

    DC AC AC AC AC AC AC AC
    AC AC AC AC AC AC AC AC
    AC AC AC AC AC AC AC AC
    AC AC AC AC AC AC AC AC
    AC AC AC AC AC AC AC AC
    AC AC AC AC AC AC AC AC
    AC AC AC AC AC AC AC AC
    AC AC AC AC AC AC AC AC

    左上の係数は直流成分(DC)で、それ以外の係数は交流成分(AC)です。右下に近い AC 係数ほど高い周波数をあらわします。

  3. 量子化係数
    1. 係数の影響

      量子化係数は映像の情報量を削減するために使用されます。量子化係数が大きいほど圧縮後の情報量が少なくなりますが、復元時の歪みが大きくなります。

      • 圧縮時: (量子化後の値) = (FDCT 後の値) × 8 ÷ (量子化係数)
      • 復元時: (復元された値) = (量子化後の値) × (量子化係数) ÷ 8
    2. DC 係数

      DC 係数は 32 固定です。この係数はカスタマイズできません。DC は 9 ビットで記録されます。

    3. AC 係数

      AC 係数は 16 以上 65535 以下の範囲で指定します。量子化後の値をあらわすのに必要なビット数は、量子化係数により変化します。

      量子化係数 量子化後の値を表すのに必要なビット数の最大値
      16~31 10
      32~63 9
      64~127 8
      128~255 7
      256~511 6
      512~1023 5
      1024~2047 4
      2048~4095 3
      4096~8191 2
      8192~16383 1
      16384~65535 0

      可変長符号は 9 ビットまでしか定義されていため、量子化後の値が 10 ビットになると圧縮データが記録できません。

      このため、量子化係数の特別ルールとして、ある DCT ブロック内の量子化後の値がひとつでも 10 ビットになった場合には、その DCT ブロックの全 AC 係数を一時的に 2 倍にします。

  4. 量子化係数の決め方

    目的別に説明します。

    1. 映像品位
      量子化係数 映像品位
      小さい 高い
      大きい 低い

      人間の色覚上、低い周波数領域ほど量子化歪みが目立つことが知られています。低周波数領域では量子化係数を小さくして、逆に高周波領域では量子化係数を大きくします。

      また、輝度と比べて色差の量子化歪みは目立たないため、色差の量子化係数は輝度よりも少し大きくします。

    2. ビットレート
      量子化係数 ビットレート
      小さい 高い
      大きい 低い

      映像品位とビットレートは強い相関関係があるため、量子化係数の決め方も似ています。

      一般的に低周波領域において量子化後に 0 でない値を取ることが多く、ビットレートを低くするには低周波領域の量子化係数を大きくします。

    3. CPU 負荷
      量子化後の値が 0 である数 CPU 負荷
      少ない 高い
      多い 低い

      映像品位を保ちながら CPU 負荷を削減するには、高周波数領域の量子化係数を大きくします。

      入力される映像信号がフレーム間圧縮を展開したものである場合には、ビットレート不足時に高周波領域に量子化歪みによるノイズが高レベルで発生します。このときの CPU 負荷が高くなりすぎないように、係数を決定します。

  5. 標準テーブル

    SMPTE 370M-2002 で定義されているテーブルを採用しています。

    1. 輝度
      32 16 17 18 18 19 42 44
      16 17 18 18 19 38 43 45
      17 18 19 19 40 41 45 48
      18 18 19 40 41 42 46 49
      18 19 40 41 42 43 48 101
      19 38 41 42 43 44 98 104
      42 43 45 46 48 98 109 116
      44 45 48 49 101 104 116 123
    2. 色差
      32 16 17 25 26 26 42 44
      16 17 25 25 26 38 43 91
      17 25 26 27 40 41 91 96
      25 25 27 40 41 84 93 197
      26 26 40 41 84 86 191 203
      26 38 41 84 86 177 197 209
      42 43 91 93 191 197 219 232
      44 91 96 197 203 209 232 246
  6. 係数の記述方法

    PV.exe と同じフォルダにあるファイル QuantizerMatrix.txt に、DC 係数を省略してテキストで記述します。QuantizerMatrix.txt が存在しない場合は、PV.exe 起動時に自動的に作成されます。

    量子化テーブルファイルは、「ファイル」メニューの「録画...」項目を選択した直後に読み込まれます。